竜神になった三郎


   竜神になった三郎 9


二人とも初めて会ったのに、いつ
かどこかで会ったことがあるよう
な、とてもなつかしい気がしました。
「一週間後、もう一度ここであおう」
そう約束して、二人は別れました。



その日、三郎は軽い足取りで、家に
帰りました。
何時間もかかる長いみちのりも、急
な坂も、今日はへっちゃらでした。



「三郎、今日はうれしそうな顔をし
ているが、町で何か良いことがあっ
たかや」
太郎が聞きました。
「いや、べつに」
三郎はぶっきらぼうに答えました。


        つづく