井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり 5


「淵には、なにかいるらしい」
「なにがいるの? おとうさま」
「大きな蛇がいるらしい」
「大きな蛇?」
「だから、淵へは近づかないよう
に。わかったね、姫」
信廉は、るり姫に念をおしました。



「おとうさま、ごめんなさい。私、
あの淵が大好きなの。だから、こ
れからも、毎日淵が見える場所へ
行くわ」
姫は、心の中で、おとうさんにあ
やまりました。


         つづく