開善寺の早梅の精


  開善寺の早梅の精 3


開善寺の早梅には、こんないいつ
たえがあります。
今からおよそ四百六十年前。
甲斐の武田が、伊那谷にせめて
きました。
そして、信濃の村上と戦になりま
した。



村上頼平の家臣に、和歌をよむ風
流な男がおりました。
男の名前は、埴科文次。
武芸を学ぶかたわら、和歌の道に
も精進していました。
文次は、出征中にも、心に残る情
景があると、それを歌によみました。


        つづく