笛の音よ、永久にひびけ


今から7年前。
1998年冬、長野オリンピックが、長
野県でおこなわれました。
おぼえているかたも多いと思います。




そのオリンピックの際、心ならずも森の木
がたくさん伐採されました。 その木の中
に、樹齢200年のイタヤカエデの木もあ
りました。 




イタヤカエデは、森の動物や植物だけでな
く、町の人たちにも愛されていたそうです。




そんなイタヤカエデの命を永遠に伝えよう
と、コカリナ奏者の黒坂黒太郎さんが、イタ
ヤカエデの木で、木の笛・コカリナを作りま
した。 そして、町の小学校へ、その笛をお
くったそうです。




その記事を新聞で読み、私はすぐ「笛の音よ、
永久にひびけ」という童話を書きました。
そして、締め切りの迫っていた童話のコンテ
ストに応募しました。 残念ながら、落選で
したが・・・。




物語の前半では、伐採されることになったイ
タヤカエデの気持を、後半はそのイタヤカエ
デの木で、コカリナをつくった青年の姿を書
きました。




ホームページに前半の一部をのせてあります
ので、良かったら読んでください。



http://www.geocities.jp/dowakan/fue1.html


(略)



物語の最後の場面。


若者は、村の人々が帰った後も、いつまで
もいつまでも笛をふき続けました。
笛の音は、遠くふもとの村まで、ひびきわ
たりました。




「若者よ、わしに新しい命を与えてくれて
ありがとう。感謝しているぞ。
わしはうれしいのじゃ。
わしはこの村が大好きじゃ。
だから、わしはこのままずっとこの丘に住
み続けるつもりじゃ」
楓の声が、どこからか聞こえてきました。




それから後、村の人々が丘へ登ると、どこ
からか美しい笛の音が聞こえてくるそうで
す。 笛の音だけでなく、楓の木があくび
をする音や、風にゆれる葉の音も聞こえる
そうです。