挿絵は長野ひろかず先生。
裏表紙の挿絵は、「校長先生と桜の鈴」の章
の挿絵。
今日は、「校長先生と桜の鈴」の章のほんの
一部分を紹介します。
(前略)
話し終わったかなは、おとうさんからもらっ
た桃の鈴を、校長先生にみせました。
「リーン・リーン・コロンころん」
「リーン・リーン・コロンころん」
鈴の音を聞いた校長先生は、はっとしました。
「私はどこかでこの鈴の音を聞いたことがある。
どこで聞いたのだろうか?」
しかし、どこで聞いたのか、校長先生には思い
出せませんでした。
「リーン・リーン・コロンころん」
「リーン・リーン・コロンころん」
何度も鈴の音を聞いているうちに、校長先生の
頭の中に、遠い昔のある光景がぼんやり浮かん
できました。
大きなおやしき…
たくさんの木が植えてある広い庭…
庭へやってくるたくさんの小鳥…
そして庭で遊んでいるかわいい女の子。
遠い昔のことが、少しずつ少しずつ校長先生の頭
の中によみがえってきたのです。
みごとに咲いた桜の花の下で、「この鈴を大切に
するのだよ」といって、娘に鈴をわたしている光
景が浮かんできたのです。
(略)