竜の姿をみた少女

「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集に収録されている「竜神になった三郎」の
続編。


昨日につづき、「竜の姿をみた少女」を紹介しま
す。 初めてのかたは、17日から21日までの
日記を読んでくださいね。



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     「竜の姿をみた少女6」


「人を信じるということは、その人の良い所も
悪い所も、すべて認めてあげるということなの
だろうね」
おじいさんは自分にいいきかせるようにそうい
いました。



「それはそうと、おまえはこの湖に竜が住んで
いると、信じているようじゃのぅ」
「はい、信じています。ともだちも村の人たち
も、竜なんていないというけれど、私はこの湖
に竜が住んでいるのではないかしらと思ってい
ます」
「なぜ、この湖にりゅうがいると思うの」
「とうちゃんから、竜になった三郎の話を聞い
たから。うちのとうちゃんも、この湖には、竜
がいるかもしれないよって、いっています」
「そうか。おまえはこの湖に竜がいると信じて
いるのか」
おじいさんは、にっこり笑いながらいいました。
「今日は、おまえにいいものをみせてあげよう。
ちょっと待っていておくれ」
そういうと、おじいさんはどこかへ消えてしま
いました。


 
「がばっ」
「がば、がばっ」
遠くで大きな音がしました。
そして、湖に大きな波がたちました。
「なんだろう?」

よくみると、湖のむこうから、竜らしきものが
近づいてきました。
「わぁ、竜だー!!この湖には、竜がいたんだぁ」 
かなは、大声でさけびました。 



「かな。わしは、大昔この村に住んでいた三郎じゃ。
わしは、この村が大好きじゃ。だから、時々ここへ
遊びにくるのじゃ。おまえとも、何度か話をしたのぅ。
わしは、さっきのじいさんじゃ。
かな、わしが住んでいる諏訪湖へつれていってあげ
よう。諏訪湖では、妻が待っている。
妻におまえのことを話したらのぅ、妻がどうしても
おまえに会いたいというのじゃ。
さあ、かな。早く、わしの背中へおのり」
おじいさんは、そういいました。



かなはいわれるままに、おじいさんの背中にのり
ました。
「かな、さあ、出発するぞぉ」
「はぁっ、はっ」
おじいさんは大きな息をはくと、かなを背中にのせ
て、空高くまいあがりました。


      つづく


竜神になった三郎」が収録されている本は、
    こちら。
    


竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)