ライオンめざめる

昨日に続き、童話「ライオンめざめる」を紹介し
ます。初めてのかたは、1月29日・1月30日
の日記を読んでくださいね。



   「ライオンめざめる3」


とつぜん、りゅうが大声でほえました。
びっくりしてふりむくと、杖をついた白いひげのお
じいさんが、後にたっていました。
「どうしたのじゃ」
おじいさんが、にこにこしながら近づいてきました。
「おじいさん、このライオンね、時々うーんうーん
ってうなるの。なぜうなるのかしら」
かなは、おじいさんに聞きました。



「そうか、ちょっとわしにみせてごらん」
おじいさんはロケットを手にのせ、じっとみていま
す。
おじいさんがロケットをやさくしなでた時、ふしぎ
なことがおこりました。
おじいさんの手の中で、ライオンがだんだんに大き
くなってきたのです。二センチくらいだったライオ
ンが、十センチくらいになり、二十センチくらいの
大きさになりました。




おじいさんは、ライオンをそっと地面におろしまし
た。すると、ライオンは足をふんばり、しっかり立
ち上がりました。
そして、あっという間に、五十センチくらいの大き
さのライオンになりました。りゅうはわんわんなき
ながら、ライオンのまわりを走りまわっています。
しばらくすると、ライオンはふつうの大きさになり
ました。




「うおー」
 ライオンが、うれしそうな声をあげました。
「かなさん、ありがとう。やさしいかなさんのおか
げで、私は長いねむりからさめることができました」
ライオンは、うれしそうにいいました。
かなはびっくりして、大きくなったライオンをみてい
ます。



「少女よ、わしは諏訪の神・明神じゃ。おまえは本当
に心の優しい少女じゃのぅ。わしは諏訪の地をあちこ
ちみて歩いているので、おまえのことも、りゅうのこ
とも、よーく知っているぞ。おまえは何千年もの間誰
も聞くことができなかったライオンの声を、よく聞く
ことができたねぇ」
神さまは、感心したようにいいました。


つづく


「ライオンめざめる」は、
今年http://www.choeisha.com/
から発行される「風の神様からのおくりもの4」
に収録される予定。



みほようこの「風の神様からのおくりもの」シリーズ



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

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竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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