童話「雪んこの舞」


   童話「雪んこの舞」2


でも舞ができないと、るみはこれから一人で生き
ていけません。
だから、るみもおかあさんもひっしでした。
るみとおかあさんは、一日中舞のけいこをしました。
目のみえる雪んこなら、三日もけいこすれば、上手
におどれるようになります。



しかしるみは目がみえないので、何千回もけいこし
なくてはなりません。
がんばりやのるみは、ころんでもころんでも自分で
おきあがり、一生けんめい舞のけいこをしました。
そして、るみは一ヶ月で基本の舞ができるようにな
ったのです。



秋が終わるころ、空の神様のもとに、人間の国から
手紙がとどきました。
「二月七日、山深い町・長野で、スキー大会がおこ
なわれます。開会式で、雪んこの舞をぜひみせてく
ださい。空の神さま、おおぜいの雪んこたちをつれ
て、長野の町へぜひおいでください。みんなでお待
ちしております」と。



空の神さまは、さっそく雨や風と相談して、長野の
町へ雪んこをおおぜいつれていくことにしました。
空の国では、各地区から、雪の舞をする百五十人の
代表が選ばれました。
代表の雪んこたちは、舞の先生のもとで、きびしい
けいこをすることになりました。



目のみえないるみも、代表に選ばれました。
おかあさんはるみがみんなのあしでまといになるの
ではないかと、心配しています。
「目のみえないるみちゃんに、むずかしい雪の舞な
んて、おどれるはずがないわ」
「なんでるみちゃんが代表になるの。私のほうがず
っと上手なのに・・・・・・」
代表に選ばれなかった雪んこたちは、るみにやきも
ちをやきました。



   つづく



童話「雪んこの舞」は、みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に収録されています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話