童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」


  童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」3 


それから三年三ヶ月がすぎました。
山深い村にも、ようやくあたたかな春がやってき
ました。
少女は、兄を喜ばそうと、守屋山へ黄金色の花を
探しにいこうと思いました。
幻の花といわれている黄金色の花さえ見つかれば、
兄がやさしい人になれるような気がしたのです。



少女は、守屋山にむかって、足早に歩いて行きま
した。守屋山についた少女は、山の中をあてもな
く歩きまわりました。
黄金色の花といっても、どんな形をしているのか、
どのくらいの大きさなのか、少女にはわかりません。
でも、少女は黄金色の花をみつけようと必死でした。



春がきたといっても、山の春はおそく、
木の芽がほんの少しふくらんでいるだけでした。
どこをさがしても、黄金色の花などありません。
枯葉が一面に落ちているだけでした。
あちこち歩きまわり疲れた少女は、枯葉の上に腰を
おろしました。
そして、いつの間にかねむってしまったのです。



「少女よ、少女よ。目をさますのじゃ。
こんな所でねていると、かぜをひくぞ。
わしはこの山に住んでいる明神じゃ。
今日はおまえに良いものをみせてあげよう。


         つづく



童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、
みほようこの初めての童話集・「風の神
様からのおくりもの」に収録されています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

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