童話「かきつばたになった少女」


    童話「かきつばたになった少女」9


その後。
かきつばたは、何度か霧が峰へ行きました。「おば
さまに、きすげの花・・・」をという気持もありま
したが、「もう一度山彦に会いたい」という気持が
強かったのです。しかし、山彦には会えませんでした。



そんなある日。
「今日こそ、山彦に会えますように」
かきつばたは祈るような気持で、山彦と初めて会っ
た沼のほとりで、山彦がやってくるのをじっと待っ
ていました。



すると・・・。
草原のむこうから、山彦が走ってくるではありませ
んか。
「やっと、山彦さんに会うことができた」
かきつばたは、胸をどきどきさせながら、山彦が近
づいてくるのを待ちました。
「山彦さん、こんにちは。今日こそ、山彦さんに会
えるかなと思って、朝からずっと待っていたのよ」
かきつばたは、はずかしそうにいいました。



「おらも会いたかった。でも、なかなか会えなかっ
たね」
山彦も、かきつばたに会えてうれしそうでした。
「かきつばたさん、きみは本当に美しいしね」
「私が美しいだなんて。村に帰れば、みんな美しい
かたばかりですよ」
「かきつばたさんはまぶしい位美しい。それに心の
やさしい人だ。おらはかきつばたさんのような美し
い人を、今までみたことがない」
「そんな・・・」


        つづく



童話「かきつばたになった少女」は、今年
http://www.choeisha.com/から
発行される、みほようこの四冊目の童話集・「ラ
イオンめざめる」に収録されます。



童話集「ライオンめざめる」は、「風の神様から
のおくりもの」シリーズ4。
今、本を製作中。
九月までには、本ができる予定です。




   今までに発行された「みほようこ」の本



     風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




    竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




    ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)