童話「笛の音よ、永久にひびけ」6
「私たちは、これからどうなるのだろう。いつまで、
こんな所に横たわっているのだろうか」
「何かに利用してくれると、うれしいのだが・・・」
「人間たちは、森の木を一本残らず切ってしまった。
山くずれなどの災害がおきなければよいがのぅ」
「山が丸裸になれば、ふもとの村や町に住んでいる人
間たちは、美味しい水を飲むこともできなくなるだろ
う。海や川にすんでいる魚や貝たちもこまるだろうね」
「森の動物たちは、これからどこで暮らすのだろうか。
森の仲間たちのことが心配だね」
切りたおされたたくさんの木は、口々になげき悲しみ
ました。
小雪の舞う、寒い季節になりました。
若者が、高原にやってきました。若者は、コカリナの
奏者でした。
スキー大会の会場を作るために、切りたおされたたく
さんの木をみて、若者はこれらの木を生かす方法はな
いものかと考えました。
切りたおされた木の中でも、楓の木はみごとでした。
「なんて大きな楓の木だろう。せめて楓の木だけでも、
なんとか生かしてあげたいものだ。そうだ。楓の木で
笛を作ったらどうだろう。きっと素晴らしい笛ができ
るにちがいない」
若者は、そう思いました。
つづく
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこの
四冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録されます。
「ライオンめざめる」は、今月末(九月末)に、
http://www.choeisha.com/
から、発行される予定です。
収録される童話
・ ライオンめざめる
・ 笛の音よ、永久にひびけ
・ かきつばたになった少女
今までに発行された「みほようこ」の本