童話「ライオンめざめる」3
「どこがいたいの?」
かなは、ライオンに聞きました。
でも、ライオンは何も答えません。
困ったかなは、ロケットをやさしくなでてあげました。
その後。
夜になると、時々ライオンのうなり声が聞こえてきま
した。かなは、そのたびに、ロケットをやさしくなで
てあげます。
「とうちゃん、とうちゃんが誕生日にくれたライオン
のロケットね、夜になると、うーんうーんってうなる
の。うなるだけではなく、いたいよぉっていうの。と
うちゃん、どうしたらいい?」
ある夜、かなはおとうさんに聞きました。
「かな、それ本当かい?」
「とうちゃん、本当よ」
「とうちゃんは、金でできているライオンが、うなる
はずはないと思うけれどね」
「私も最初はそう思ったわ。金でできているライオン
が、うなるはずはないって。でも、何度もうなり声を
聞いているうちに、このロケットの中に、だれかがと
じこめられているのではないかと思うようになったの」
「そんなばかな・・・。とうちゃんは、かなのいうこ
とを信じたい。でも、この話だけは、信じることがで
きないね」
おとうさんは、困ったような顔をしました。
つづく
童話「ライオンめざめる」は、みほようこの四冊目
の童話集・「ライオンめざめる」に収録されます。
童話集「ライオンめざめる」は、今月末(九月末)に
http://www.choeisha.com/
から、発行される予定です。
収録される童話
・ ライオンめざめる
・ 笛の音よ、永久にひびけ
・ かきつばたになった少女