愛犬りゅう「ばいばい、またね」


愛犬りゅう「ばいばい、またね」1


「あのね、社会科の先生がね、犬がほしいんだっ
て。元気な犬がほしいそうよ。
今度生まれる犬の中で、一番元気の良い犬を先生
にあげようと思うの。先生にあげてよいかしら?」
ある日、この家の少女は、ぼくのかあちゃんのお
なかをさすりながら、そういった。



「先生が・・・というより、おくさんが犬をかい
たいんだって。
おくさんは自宅でお茶を教えているそうよ」
「お茶って、何だろう?」
ぼくはかあちゃんのおなかの中で、そっとつぶや
いた。
ぼく、その家へ行きたいな。でも・・・お茶の先
生だっていうから、「おすわり」「待て」「ふせ」
なんて、きびしいことをいわれるんだろうな。
まあ、いいか。その家にはこどもがいないという
から、ぼくをかわいがってくれるだろう。
でも、そのおくさん、ぼくのこと気にいってくれ
るかな。


                  つづく