愛犬りゅう「ばいばい、またね」


  愛犬りゅう「ばいばい、またね」4


「太郎、太郎ー」
「二郎、二郎」「まろー、まろ」
あーちゃんは、ぼくをいろいろな名前でよぶ。
「なんで、毎日違う名前で、ぼくをよぶのだ」
ぼくの名前は、なかなか決まらなかった。



あーちゃんは最初から「りゅう」という名前
に決めていたらしい。
でも、りゅうなんて勇ましすぎると、迷って
いたようだ。
あーちゃんの夫・こうちゃんも「たろ」「ベ
ル」「ちろ」なんて、やはりいろいろな名前
でぼくをよんでいた。



「ぼくの名前は何なの?」
ぼくは二人にこうぎした。
何日かして、ぼくの名前は「りゅう」と決まっ
た。
「りゅう、りゅうー」
「勇ましい名前だな」
そう思ったが、ぼくはこの名前が気に入った。
しかし、毎日「りゅうー、りゅうー」と呼ばれ
ていると、なんだか勇ましい犬になったような
気がした。



「りゅうなんて名前をつけなければ良かった
・・・」
ある日、あーちゃんはぼくにいった。
「ねえ、りゅう。ちろとか、まろとかいう名前
だったら、りゅうも大人しい犬になっていたか
もしれないね」と。ぼくもそう思った。
名前って、むずかしいなと思った。


          つづく