愛犬りゅう「ばいばい、またね」


  愛犬りゅう「ばいばい、またね」9


となりにこうちゃんの両親が住んでいるが、二人
とも犬は大きらい。
だから、二人ともぼくには興味がないみたい。
鎖がからまったまま、ぼくは何時間も動けずにい
た。



空からは、白いものがどんどん降ってくる。
ぼくの体にも、白いものがつもりだした。
庭も白いもので真っ白になった。
「こうちゃんが早く帰ってこないかな」
ぼくはこうちゃんが帰ってくるのを、首を長くし
て待っていた。



夕方になり、だんだん暗くなってきた。
ぼくは心細くなって、「くぅーんくぅーん」と、
大声でないた。
しかし、となりに住んでいるおじいちゃんもおば
あちゃんも、きてくれなかった。
ぼくのなき声が聞こえなかったのだろうか?



夜七時半頃、やっとこうちゃんが帰ってきた。
「こうちゃん、助けてぇ」
ぼくはこうちゃんに助けをもとめた。
「かわいそうに・・・。鎖がからまってしまった
のだね」
そういって、こうちゃんはからまった鎖をほどい
てくれた。
「ああ、助かった・・・。こうちゃん、ありがと
う。



それにしても、あーちゃんはどこへ行ってしまっ
たのだろう?」
ぼくはこうちゃんにとびついた。
こうちゃんは、ぬれた体をタオルでふいてくれた。
そして、家の中へ入れてくれた。
しばらくこうちゃんと遊んでいたが、疲れてしま
い、ストーブのそばでねてしまった。



「りゅう、良い子でお留守番できたかな」
耳元であーちゃんの声がした。
ぼくはあーちゃんの足にとびついた。
「りゅう、着物がよごれるから、とびついてはだ
めよ。着替えてくるから、待っていてね」
あーちゃんは二階へ着替えに行った。


        つづく