白駒の池


白駒の池29


「いや、清太は何もしない。ただ・・・清太が、き
よを大好きだといったからだ。結婚できない二人が、
これ以上同じ屋根の下で暮らすわけにはいかないか
らね」
「・・・・・・」
きよは、そんなことではないだろうかと心配してい
たのです。



でも、きよは、用事がすめば清太さんはこの家にも
どってきてくれると信じていました。
「とうちゃん。清太さんは、今どこにいるの。諏訪
の家へ帰ったの?」
「それが・・・清太は、諏訪の家にもどっていない
そうだ。清太は、どこへ行ってしまったのだろうね」



「とうちゃんって、ほんとうにひどい人ね。私、と
うちゃんのこと、信じていたのに。清太さんがかわ
いそう・・・」
そういうと、きよは、自分の部屋へ入ってしまいま
した。そして、それっきり、きよは部屋からでてき
ませんでした。


                          つづく