竜の姿をみた少女


竜の姿をみた少女14


「私のために、わざわざ?」
「そう、わざわざきたのじゃ。かなに会いたいと
思ってのぅ」
「おじいさん。美しい竜をみせていただきありが
とうございました。竜があらわれた時は、びっく
りしました。竜って、ほんとうにいるんですね」



「ああ、いるとも。大昔は、どの人も、かなのよ
うに心が美しかった。だから、竜の姿をみること
ができたのじゃ。神様とも、お話をすることがで
きたのだよ。ところが、いつしか心に曇りができ、
どの人も心がよごれてしまった」
かなは、ふしぎな思いで、おじいさんの話を聞い
ていました。



「おじいさん。どの竜も、おじいさんのようなう
すい黄色をしているのですか」
「いや、生まれたばかりの竜は、茶色じゃ。竜の
赤ちゃんは、かわいいよ。小さなうちはおかあさ
んのもとで育てられる。少し大きくなると、池の
修行場へ行くのじゃ」


                        つづく



「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の童話集・
竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎」は、2004年4月、七年に一度
おこなわれる諏訪大社の「御柱祭」にあわせ、「鳥影社」
から発行されました。




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)