竜の姿をみた少女


    竜の姿をみた少女16


「とうちゃんに、竜のことを話してあげようと
思って」
「きびしい修行を、何万年と続けると、体の色
が真っ白になるのじゃ。わしも、しっかり修行
をして、純白色の美しい竜になりたいものじゃ」
「竜の世界も、大変なんですね」
「人間の世界と同じじゃ」
おじいさんは、体の色についていろいろ話をし
てくれました。


 
その時、「ぴゅぅー」と涼しい風が吹いてきま
した。
「かな。風は、だれが吹いているか、知ってい
るかな」
「知りません。だれが吹いているのですか」
「竜が吹いているのじゃ」
「竜が?」



「そう、竜が吹いているのじゃ。風といっても、
いろいろな風があるね。どんな風があるかな」
「五月のさわやかな風」
「その風のことを、何というか知っているかな。
薫風というのじゃ」
「薫風?」
「そう、薫る風と書いて、薫風じゃ」
「今日のような涼しい風。冬の北風、台風の時
のあらあらしい風、竜巻の時の突風」


つづく



「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の童話集・
竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎」は、2004年4月、七年に一度
おこなわれる諏訪大社の「御柱祭」にあわせ、「鳥影社」
から発行されました。




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)