女神さまとの約束

    女神さまとの約束24


「だいじょうぶですよ。女神さまが守ってくれて
いますから。おとうさんと同じように、湯でひた
した黄金色の花びらで、おじいさんの体をやさし
くさすってあげてください。ふくさんのおじいさ
んだと思って、世話をしてあげてくださいね。何
日かすれば、おきあがることができるでしょう。
じゃあ、私はこれで帰ります」



「白駒。もう帰ってしまうの。今夜はここにいて、
おねがい」
ふくは、ひっしで白駒にお願いしました。

今にも死んでしまいそうな人と、今夜一緒にすごす
のかと思うと、ふくは不安でした。
「ふくさん。だいじょうぶですよ。明日朝早く、様
子をみにきますからね」
白駒は、さっさと帰っていきました。
その夜。ふくは、一晩中、一心におじいさんの看病
をしました。



次の朝。
「あれっ?」
「気がついたのですか」
「ここはどこ?」
目をさましたおじいさんは、ふしぎそうな顔でふく
に聞きました。
「ここは、八ヶ岳の山奥、硫黄岳の岩場ですよ。お
じいさんは、昨日ここへきたのです」


つづく