ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」11
一年後。
姫は重い病気にかかり、三十四才の若さで、この世
を去りました。
なくなる少し前、姫はぼだい寺の和尚に、大切にし
ていた二つの鈴を預けました。
「私もじきに死ぬだろう。でもいつかこの世に再び
生まれてきたい。生まれ変わって、大好きな父や母、
夫とともに、もう一度この世で暮らしたい」
姫はこの世に生まれてくることを、強く望みました。
ある夜、姫は夢をみました。
桜の花が美しく咲いている下で、少女が鈴をもらっ
ている夢でした。
「かな、この鈴を大切にするのだよ」
長いひげの人は、その少女を「かな」とよんでいます。
「私はかなという少女に生まれ変わるのかもしれない」
姫はなぜかそう思いました。
つづく
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (436件) を見る