ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」


   ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」4


「なんてすてきな耳かざりだろう。うれしいなぁ。
お月さま、どうもありがとう」
お月さまにむかって、かなは何度もお礼をいいま
した。



かなとりゅうは、いそいで家に帰りました。
かあちゃんかあちゃん。大変、大変」
かなはねているおかあさんの枕元へ、とんで行き
ました。
「かな、すてきな耳かざりね。どなたにいただい
たの?」
おかあさんはかなに聞きました。



かなは散歩の途中で、お月さまから星の耳かざり
をもらったことを話しました。
おかあさんは乳にがんができて、この間手術をし
たばかりです。おかあさんは乳を切ってしまった
ので、手が上にあがりません。ふっくらしていた
おかあさんの顔が、日毎にやせていくのをみて、
かなは心配でたまりません。


つづく


「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話。
一昨年九月、「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)