明神さまの姿をみた少女


    明神さまの姿をみた少女4


すると、どこからか赤いちょうが一匹まってきま
した。
松虫草の花の上で、赤いちょうが羽を大きくひろ
げた時、少女は余りの美しさに「あっ」と声をあ
げました。



ちょうの羽には、大きな目玉のようにみえるもよ
うがついていたのです。
なんとも不思議なもようでした。
少女が赤いちょうにみとれていると、あっちの方
から一匹、こっちの方から一匹と、沢山のちょう
が、松虫草の花のまわりに集まってきました。



そして沢山のちょうは大きなまーるい円をえがき
ながら、ひらひらまいはじめました。
ちょうの数は何百匹、いや何千匹でしょうか。
初めてみる美しいちょうの舞でした。



誰がふいているのでしょうか。
どこからか笛の音が聞こえてきました。
ちょうたちは、その笛の音にあわせて、ひらひらと
楽しそうに舞っています。


つづく



「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこの初めて
の童話集・「風の神様からのおくりもの」に収録され
ています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話