きよと清太と、そして白駒


   きよと清太と、そして白駒28


「清太さん。ちょっと早いけれど、むすび
を食べない?」
二人は、白駒をはさんで、むきあってすわ
りました。
「清太さん。二人っきりで食事をするのは、
初めてね」
きよは、はしゃいでいます。



「きよちゃんがにぎってくれたこのむすび、
おいしいね」
「おいしいでしょ。清太さん」
「うん、とってもうまい」
「私、清太さんのために、心をこめてにぎっ
たのよ」
「だから、おいしいのだね。おれ、白米の
おにぎり、生まれて初めて食べた」




「わが家でも、お祭など特別な日しか白米の
ごはんは食べないわ。ふつうの日は、麦やあ
わなどが入っているごはんを食べている」
「そうだね。どの家でも、麦やさつまいもや
あわなどが入ったごはんを食べているね。お
らの家は貧乏だったから、あわやさつまいも
の中に、ほんの少し白い米が入ったご飯だっ
たよ」
清太は、母が作ってくれたごはんをなつかし
く思い出しました。




ごはんにみそ汁だけの質素な食事だったけれ
ど、とうちゃんとかあちゃんと三人で食べた
食事はおいしかったなと、清太は思いました。
二人はたわいない話をしながら、むすびを食
べました。
幸せなひとときでした。


   つづく