女神さまとの約束16
「葉が大きくて、くちびるの形をした
花が、穂のようになっている花ですか。
あれは、ウルップ草ですよ。
北海道の千島列島で発見された花で、
このあたりでは、八ヶ岳と白馬連峰に
しかないそうですよ」
「白駒は、何でも知っているのね」
「花の好きな女神さまから教えていた
だきました。夏になると、女神さまと
一緒に、八ヶ岳に咲いている花をみて
まわるのです。どの花もきれいですよ」
少し下ると、うすい黄色の花が咲いて
いました。
「白駒。ちょっと止まって。この花、
おだまきでしょ」
「はい。きばなのやまおだまきですよ。
せいそな花ですね」
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。