井戸で鳴く黄金色のにわとり


  井戸で鳴く黄金色のにわとり13


「あんなに晴れていたのに。なぜだ」
ふしぎに思った信忠は、水柱のあ
がった大蛇ケ淵をのぞいてみました。
「あっ」
信忠が、大声をあげました。



「信忠さま、どうされました」
「淵に何かいる。みなのもの、ま
ず淵にいるものを退治せよ。
城は、それからだ」
信忠は、兵士たちにつげました。



「えいっ」
「えいーっ」
「えいっ」
どしゃぶりの雨の中、兵士たちは
淵にむかって、何本も矢をはなち
ました。
しかし、兵士たちの矢は、淵に届
かぬうちに、なぜか雨の中にすい
こまれてしまいました。


              つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州伊那谷の大島城」に伝
わっている伝説をヒントにして、
みほようこが書いたもの。