赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花52


盛永さまを刺し殺そうと思った時、
なぜなくなった両親の顔を思い出
さなかったのだろう。
二人の顔を思い出していれば、盛
永さまを刺し殺すことはなかった
だろうに。
犬坊の頭の中で、これらのことば
がぐるぐるとかけめぐりました。



「うー、わんわん」
突然、犬坊の目の前に、犬があら
われました。
白と黒のまだらの犬でした。
犬は、犬坊に向かって飛びかかっ
てきました。



犬坊は、とっさにやりをかまえま
した。
すると、その犬の顔が、城主の盛
永の顔とたぶりました。
犬坊は、夢中でやりをふりまわし
ました。


           つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



「つづき」は、今 推敲中です。
推敲が終わり次第、また掲載します。


明日からは、別の物語を掲載する予
定です。