開善寺の早梅の精7
「すてきな歌ですね。ところで、
あなたの名前は?」
「梅香といいます」
「梅香さんですか。あなたは、こ
の梅のように美しいかたじゃ」
「美しいだなんて・・・。あなた
の名前は?」
「わしの名前は、埴科文次。
さむらいじゃ」
「文次さんですか。文次さんこそ、
いい歌をよまれる」
「いやいや、おはずかしい」
文次は、女の人にほめられ、顔が
赤くなりました。
「ところで、文次さん。なぜここ
へみえたのですか」
「わしらは、今、甲斐の武田と戦
っている。だが、開善寺の早梅が
みたくなって、こっそり戦場をぬ
けだしてきたのじゃ」
つづく
信州の伊那谷に、「開善寺」という
寺があります。
「開善寺の早梅の精」は、開善寺に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。
初めて読んでくれたかたへ
開善寺の早梅の精1
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080607#p1
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