昭和60年代の歌3


此の年は牛に倣ひて生き行かむと

   知至先生の言ふを聞きをり



年と共に精神年令を若くして

   作歌に励まむと老先生の言ふ



日の入りて冷たき風の吹く庭に

   鉢に移さむ寒木瓜を掘る



裸木となりしニシギギにみの虫幾つか

   下がりて夕の風に揺れをり