平成の歌31


在りし日に夫の植ゑたる花大根に

   紋白蝶のもつれつつ舞ふ



埃立つ迄に乾きし門先に

   土竜もたげし黒土匂ふ



透視板に医師の貼るわが胃の写真

   恐れを持ちて覗見をする



ヒムロ誌に吾と同じく亡き夫と
   詠める歌多しなべて寂しも