風の神様からのおくりもの


 風の神様からのおくりもの19


そんなある日。
「この家の子ね、まゆちゃんてい
うんだけれど、一年たってもまだ
ねがえりができないんだって。
ぺたんとねているだけだって」



「まだねがえりができないの。
早い子はくつをはいて、外を歩い
ているのにね。
まゆちゃんてちょっとおかしいん
じゃないの」
近所のこどもたちが大声で話しな
がら、家の前を通りすぎていきま
した。



その夜、まゆ玉をみたおかあさん
は、どきりとしました。
まゆ玉が赤黒い色に変わっていた
のです。
ぞっとするような、気持の悪い色
でした。



まゆの顔をみると、ひたいには青
すじがたち、いつになくこわい顔
をしていました。
「まゆはおこっているのだわ」
おかあさんにはまゆ玉が赤黒くな
った訳が、なんとなくわかりました。



赤黒かったまゆ玉も、半年後には
灰色になりました。


             つづく



「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。







心を病む兄のために、明神様にお参
りする心優しい少女の話など4編。


信州諏訪の「風の神様」から聞いた
お話。
挿絵は長野博一先生。
心温まる創作童話。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




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