ふしぎな鈴


   小桜姫とふしぎな鈴 19


しかし、姫の祈りもむなしく、戦
のさなかに、夫をはじめ一族のほ
とんどが、城でうち死してしまっ
たのです。



姫は、城が見える南岸の森の陰
へ、仮家をつくり逃げていました。
そして、城が焼けおちるのを、対
岸のかくれ家で、くやしい思いで
みていたのです。



「くやしい、くやしい……。なんと
しても、にくき北条をほろぼしたい」
心のやさしい姫でしたが、三浦一族
をほろぼした北条を、姫はどうして
許すことができませんでした。


      つづく