福寿草になった少女 5
「こどものことを、毎日お願いし
ているのに、なぜ明神さまは、わ
しらの願いを聞いてくれないのじ
ゃろ」
二人は、こどものことを、あきら
めかけていました。
そんな春のある日。
庭の桜が、満開になりました。
「今年の桜は、みごとじゃのぅ」
「そうねぇ。こんな美しい桜は、
ひさしぶりね」
二人は、桜の花にみとれていました。
すると。
お手伝いの人が、あわてて長者を
よびにきました。
「だんなさま、だんなさま。た、大
変です」
「何じゃ。騒々しい」
つづく