福寿草になった少女


   福寿草になった少女 18


春がきたといっても、山の春は遅く、
木の芽がほんの少しふくらんでいる
だけです。
どこをさがしても、黄金色の花など、
ひとつもありません。
枯葉が一面に落ちているだけでした。
福の足音と、鈴の音だけが、静かな
山の中にひびきわたります。



どのくらいの時間がすぎたのでしょ
うか。
あたりがなんとなくうす暗くなって
きました。
福がでかけた時は、からりと晴れて
いたのに、今にも雪が降ってきそう
でした。


        つづく