井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり 30


「逃げているうちに、おつきのも
のとはぐれてしまったようです。
そして、織田の兵士たちに、井戸
の所までおいつめられたようで・・・」
「そうか。かわいそうに・・・」
信廉は、そういったまま、だまっ
てしまいました。



十日後。
大島城を逃れた信廉たち一行
は、故郷の甲斐にもどりました。
「わしは、るり姫を守ってあげ
ることができなかった。今度の
戦では、おおぜいの人が怪我
をしたり、なくなった。戦とは、
むなしいものじゃのぅ」


       つづく