井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり 31


愛するわが子をなくした信廉は、
戦をする気力をすっかりなくして
しまいました。



「わしの一生は、なんだったの
だろう。大切なわが子さえ守っ
てやることができなかった。戦
国の世とはいえ、戦、戦の一生
だった。



もっとたくさん絵を描きたかっ
た。歌もたくさんよみたかった」
信廉は、故郷の甲斐の山をみな
がら、そうつぶやきました。



翌月の三月。
信廉は、姫の後を追うように、戦
死してしまいました。


        つづく