井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり8


「城代さま。大変でございます」
 天守閣でみはりをしていた人が、
信廉の部屋へとびこんできました。
「なにごとじゃ」
「はい。はるか遠くに、織田の軍
勢がみえます。驚くほどたくさん
の軍勢です」
みはりの人が、早口でいいました。



「何? もう織田軍が近くまでき
ていると。早く、みんなに知らせろ」
信廉が、みはりの人にいいました。
「みなのもの、いよいよ戦が始ま
るぞー。三河の織田軍との戦じゃ」
信廉が、大声でさけびました。



城内は、騒然となりました。
「静まれー。落ちつくのじゃ」
信廉の声で、城内は静かになりま
した。


             つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州伊那谷の大島城」に伝
わっている伝説をヒントにして、
みほようこが書いたもの。