古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」


古事記神話「古事記物語」125


豊玉比売 2


「水を一杯いただきたいのですが」
山彦は、侍女にお願いしました。
「どうぞ」
侍女は水をくみ、山彦にさしだしました。
山彦は水を飲まずに、首にかけていた玉飾りを
ほどくと、口に玉をふくみ瓶にはきいれました。
すると、玉が瓶の底にくっついてしまいました。


侍女は、その玉をとろうとしたがとれません。
しかたがないので、そのまま、豊玉比売に瓶を
渡しました。
「外に誰かいるのですか」
「はい。桂の木の上に、立派な青年がおります。
海の神のような、高貴な感じのかたです。その
かたが水を求めたので、水をさしあげました。
でも、そのかたは水を飲まずに、玉を瓶にはき
いれたのです。玉をとろうとしましたが、とる
ことができません。それで、そのまま持ってき
ました」


         つづく