童話「笛の音よ、永久にひびけ」4
「今年は、はっぱをつけることができないかもしれ
んのぅ。いつ切りたおされるのだろうか」
楓は、不安な気持で毎日を過ごしました。
「楓のおじさん、この森の木が、みんな切られて
しまうって、本当?」
リスとかもしかがやってきて、聞きました。
「本当だよ。わしも切られてしまうことになった」
「えっ、楓のおじさんも?」
「ああ・・・わしもじゃ」
「森の木がなくなると、さみしくなってしまうね。
わたしたちは、これからどこで暮らしたらよいの
かしら」
「さあ・・・どこで暮らしたら良いかのぅ。
わしも、森の仲間たちのことが心配じゃ」
楓が、さみしそうにいいました。
二ヶ月が過ぎました。
楓は、最後のはっぱを、たくさんつけることがで
きました。
「最後のはっぱを、つけることができたぞー」
楓は、大声でさけびました。
そして、大きな体を、ゆっさゆっさとゆらしました。
「さわ、さわー」
「さわ、さわーー」
たくさんの楓の葉のゆれる音が、丘にひびきわた
りました。
つづく
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこの
四冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録されます。
「ライオンめざめる」は、来月末(九月末)に、
http://www.choeisha.com/
から、発行される予定です。
収録される童話
・ ライオンめざめる
・ 笛の音よ、永久にひびけ
・ かきつばたになった少女
今までに発行された「みほようこ」の本