白駒の池


     白駒の池8


「あるよ。一度だけ。何年か前、長者のおともで、
夕暮れに霧ケ峰高原を通ったことがある。その時、
どこからかいい香りがしてきた。何の香りだろう
と二人で香りのする方へ行ってみたら、レモン色
の美しい花が咲いていた。それが、ゆうすげの花
だったんだ。きよちゃん。ゆうすげの花は、美し
い花だよ」
清太は、霧ケ峰高原でみたゆうすげの花を思いうか
べながらいいました。



「もう一度、ゆうすげの花がみたいな」
「私もみたい」
「でも、きよちゃん。ゆうすげの花は、うす暗く
ならないと咲かないのだよ。夕方遅く、二人で遠
出することは、長者が許してくれないだろうしね」
「私、とうちゃんに聞いてみる。もし、とうちゃん
が許してくれたら、ゆうすげの花をみに、つれてい
ってくれる?」
「もちろん。長者が、夕方の外出をゆるしてくれる
といいね」
二人はゆうすげの花をみるのを、楽しみにしていま
す。


 
次の朝。
「とうちゃん。清太さんと一緒に、ゆうすげの花を
みに行ってもいい?」


    つづく


     ゆうすげの花

http://www.hana300.com/aaooyusuge.html