ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」


   ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」4


その鈴は、諸国を旅していた坊さんが、大江家に泊
まった時、お礼にくれたものでした。
「この鈴を大切にするように」
そういって、坊さんは立ち去ったそうです。



一つは、桜の花びらで囲まれた中に、小さな鈴が入っ
ていました。
「リーン・リーン・リーン」
鈴虫が鳴いているような、澄んだ音色の鈴でした。
姫はこの鈴がお気に入りで、なくなるまで大切にして
いました。 



もう一つの鈴は、桃の実の形をしていて、中に入って
いる鈴も、少し大きめです。
「リーン・リーン・コロンころん」
なんともいえない良い音がします。
和紙でできていて、あどけないこどもの顔がかいてあ
りました。


                        つづく

「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。
2005年9月、「鳥影社」から発行されました。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)