ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」


ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」5


十才になった春のある日。
姫は庭にでて、満開の桜をじっとながめていました。
そして、何気なくおとうさんからもらった桜の鈴を、
何回かふってみました。
リーン・リーン・リーン・・・と、姫が七回鈴をふっ
た時、どこからか話し声が聞こえてきました。
「誰だろう?」
あたりをみまわしましたが、誰もいません。




じっと耳をすませて聞いていると、桜の花がこんな
おしゃべりをしていました。
「小桜姫さまってね、・・・女の子だけど・・・小
鳥やちょうが・・・大好きなんですって」
「そういえば・・・姫のおとうさまも・・・小鳥が
好きですものね」
「そうそう、小桜姫さまはね、・・・不思議な鈴を
・・・もっているですって」



「不思議な鈴って・・・どんな鈴なの?」
「その鈴はね、桜の花びらの・・・鈴でね」
「みんな聞いた?桜の花びらの鈴・・・ですって」
「その鈴を・・・靜かにリーン・リーン・リーン・・・
と何回かふると、私たちのような花や小鳥と・・・
お話することができるんですって」
「それ、本当なの?」
「本当よ。私・・・あるかたから・・・聞いたのだ
から。でもね、・・・本当に優しい心を持っている
時しか・・・お話ができないそうよ」


つづく


「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。
2005年9月、「鳥影社」から発行されました。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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