笛の音よ、永久にひびけ


笛の音よ、永久にひびけ4


こどもたちは、かえでの木の下で、じゃん
けんやかくれんぼをして遊びます。
かえでは、村のこどもたちが大好き。
こどもたちも、かえでの木が大好きでした。



こどもたちだけでなく、おとなもかえでの
木が大好きでした。
こどものころを思い出し、かえでの美しい
芽吹きや黄葉をみに、丘の上へやってきま
す。そして、かえでの木の下で、ゆっくり
休んでいきました。



かえでが冬のねむりからさめた、春のある日。
「この木も、じゃまだー」
「あの木も、じゃまだぞぉ」
「えーい、めんどうだ。あの木もこの木も、
みんな切ってしまえー」
風にのって、人間たちの声が聞こえてきまし
た。その声は、なげやりでらんぼうな声で
した。


             つづく



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。