福寿草になった少女


福寿草になった少女4


「はい、赤ちゃんがいます」
長者と妻は、いそいで門の方へ走って行き
ました。
門のそばには、桃色の布で包まれた赤ちゃ
んが、おいてありました。
白い産着をきた、生後一カ月くらいの女の
子でした。



「この子のこと、どうかよろしくお願いし
ます」
そう書かれた手紙と守り袋が、女の子のそ
ばに置いてありました。
長者が守り袋をとりあげると、「リーン・
リーン」と、良い音がしました。
中に鈴が入っているようです。



女の子のおかあさんが、お守りのつもりで、
鈴をおいていったのでしょうか。
長者が袋をあけてみると、中に黄金色の鈴
が入っていました。
「おや? 鈴に紋がついている。この紋は
たしか・・・梶の紋。
梶の紋といえば、明神さまの紋じゃが。
この子は、明神さまに関係ある人のこどもな
のじゃろか」
「まさか・・・」
おくさんも鈴を手にとり、ふってみました。


          つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の明
神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。




童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。



童話集「竜神になった三郎」は、2004年
4月、諏訪大社御柱祭にあわせ「鳥影社」
から発行されました。




http://www.bk1.jp/product/02434727