黄金色のまゆ玉14
ある日。
明神さまは、おそるおそる奥さんに話しま
した。
「なあ、妻よ。約束しておいて悪いけれど、
黄金色のまゆ玉を、わしの友だちにしばら
くかしてあげてくれないか」と。
すると・・・。
「あなたは、今度まゆ玉が授かったら、私
にそのまゆ玉をかしてくれると約束してく
れたのに・・・。
なぜ? しばらくって、どのくらいなの?」
「友だちのこどもが、元気になるまでだよ」
「もし、そのこどもの病気がよくならなかっ
たら、どうなるの?」
「もちろん、病気がなおるまで、まゆ玉をか
してあげるさ」
「そんな・・・。じゃあ、私との約束は、ど
うなるの。
私、長い間、黄金色のまゆ玉をかしてもらえ
ると楽しみにして待っていたのよ」
心のやさしい奥さんでしたが、さんざん楽し
みにして待っていたまゆ玉です。
つづく
信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。
「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。