女神さまとの約束6
しかし・・・。
何日たっても、長者はよくなりません。
物が食べられなくなり、長者は一日ご
とに弱っていきました。
「ふくや。わしは、もうだめだ。長く
は生きられないだろう。
わしが死んでも、一人でしっかり生き
ていくのだよ」
「とうちゃん。だいじょうぶだよ。
きっと元気になれるから」
ふくは、長者をはげましました。
「とうちゃんが死んでしまったら、私
は一人ぼっちになってしまう」
そう思うと、ふくはいてもたってもい
られません。
「神様。どうかとうちゃんを助けてく
ださい。お願いします」
ふくは、一心に神様にお願いしました。
しかし、長者は、いっこうによくなり
ません。
とうとう、おきあがることもできなく
なってしまいました。
ふくは、ひっしで長者の看病をしました。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。