鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま15


「タケル、チハヤ。なぜ石になって
しまったのじゃ」
和尚は、石になってしまったタケル
とチハヤを、何度もなでました。
そして、二匹の犬にお経をあげました。
二人は、石になった犬たちをつれて、
寺へ帰りました。




二週間後。
寺に、三郎がやってきました。
「三郎さ。この間は、世話になっ
たのぅ」
「和尚さま。タケルとチハヤが石
になってしまい、さみしいでしょう」
「二匹の犬は、家族の一員だった
から、さみしいのぅ。
元にもどれるといいのじゃが」
和尚がさみしそうにいいました。


               つづく



「鹿になった観音さま」は、信州の
伊那谷・「三穂」に伝わっている話
をヒントにして、みほようこが書い
たもの。