赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花10


城の中は、大さわぎになりました。
ほろよいかげんだった家臣たちも、
一気に酒のよいが冷めました。
「みなのもの、落ち着けー。落ち
着くのじゃ。そして、みんなで城
を守るのじゃ。頼んだぞ」
盛永が、家臣たちにいいました。



家臣たちは、いそいで戦の準備を
しました。
しかし、余りにも急なことで、盛
永も家臣たちも、とほうにくれて
います。



「お万。下条との戦じゃ。長五郎
をつれ、すぐ浪合の実家にもどれ。
落ち着いたら、迎えに行くから」
盛永が、奥がたのお万にいいました。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。