赤い夕顔の花16
「さあ、犬坊。城から脱出するぞ」
盛永が、犬坊にいいました。
二人は、下条の兵士たちにみつか
らないように、こっそり城を出ま
した。
でも、兵士たちにみつかってしま
いました。
「城主の盛永が、逃げだしたぞ。
早くつかまえろ」
下条時氏が、大声でさけびました。
「殿様。さあ、早く。安全な場所
へ逃げましょう。
殿様、だいじょうぶですか」
「犬坊、だいじょうぶじゃ」
盛永と犬坊は、必死で逃げました。
後から、下条の兵士たちが追って
きます。
二人をめがけ、矢や石がとんでき
ました。
つづく
「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこが
書いた物語。