明神さまの姿をみた少女11
少女は明神さまに病気の兄のこと
を、何度も何度もお願いしました。
「おまえの兄を思う気持は、よく
わかった。
何年か後には、おまえの兄はきっ
とよくなるだろう。
いつまでも優しい心を忘れずに生
きていくのじゃよ。
今日ここでわしに会ったことは、
決してだれにもいうではないぞ。
くじゃくちょうの舞のこともな。
では明日また社であおう。
待っているぞー」
こういうと、明神さまは「ぴゅー」
と風になって、いつも住んでおら
れる社の方にむかってとんでいき
ました。
「ぴゅー」というここちよい風で、
少女ははっとわれにかえりました。
松虫草の花が風でかすかにゆれて
います。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081220#p1/
「明神さまの姿をみた少女」は、
みほようこの初めての童話集
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。
童話集「風の神様からのおくりもの」
は、信州諏訪の「風の神様」から聞
いたお話。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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