明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女


明神さまの姿をみた少女 2


少女が明神さまへ千回目のお参りにいった日。
ひとっこ一人いない静かな境内を、ぴゅーと心
地よい風が通りすぎていきました。
「なんて気持のよい風だこと」
少女がそうつぶやいた時、社の方からおごそか
な声が聞こえてきました。


「おまえは兄思いの優しい少女じゃのー。兄の
病気はじきによくなるだろう。いつまでも今の優
しい気持をわすれずに生きていくのじゃよ。わし
は時々少年の姿になって、諏訪の地をあちこち
みて歩いているので、おまえのことも兄のことも
よーく知っているぞ。これからも兄と仲良くする
のじゃよ」
その声はいつかどこかで聞いたことがあるような、
なつかしい声でした。

   
        つづく





「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこ
初めての童話集「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu1.html


童話集「風の神様からのおくりもの」の価格は、
現在1430円です。